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お知らせ


石彫作家ギャラリートークを開催しました

2023. 7. 1

右から、宮澤光造さん、吉村貴子さん、塚本悦雄さん

《十日町石彫プロムナードの作家たち2023》にご出品いただいている
3名の作家さんによるギャラリートークを開催しました。
宮澤さんと吉村さんは同じ大学の先輩後輩、吉村さんと塚本さんは
予備校の同級生ということもあり、十日町市の方々との旧交も温められ
たいへん和気あいあいとしたギャラリートークとなりました。
ギャラリートークの模様を、一部抜粋して掲載いたします。

《十日町石彫プロムナードの作家たち2023》出品作品について

塚本:ウサギを作っているので、ウサギの作品を2点出しています。そして、これが(十日町石彫シンポジウム)20回展の時に出した時から変わってる…。出したんですが、本場を見に行って愕然と、すごい質が悪いと自分で思ったんですよね。持って帰ってもう一回がっつり彫って、まぁ見てもらえるようになったっていう感じです。
それに加えてですね、向こう側が一番新しいやつで。最近、白鳥が、コブハクチョウを。コブハクチョウって外来種で、稲を食べて非常に迷惑してるんです。でも海外ではですね、鳥の王様とかいわれて国鳥になったりしてるんです。で、言い訳がましくいうと、コブハクチョウを作って、早めに運送屋さんが来ちゃいまして。10日ぐらい早く来て、あと10日分くらい手が入る。帰ってからまた、向こうと同じように彫ります、っていう感じです。
コウモリは、Hさんが、2011年か。(十日町石彫シンポジウム)会場に瀕死のコウモリがいまして、それHさんが写真撮って、あとから写真をくれたんですけれども。「これ彫れ」と言われたので、真面目にそれを実行して、コウモリを彫るようになりました。で、コウモリは哺乳類で、唯一自力で飛行する。この前に僕はニワトリ彫ってたんですが、ニワトリは鳥のくせに飛べない。そこらへんがね、面白いなぁと思って。で、まぁ彫刻になりやすいかなって、いろいろこう…っていう感じです。で、アラカルトっていろいろこう詰め込む方式がですね、最近、れんが倉庫美術館っていう弘前の所で展覧会をやった時に、「弘前アラカルト」っていう作品で弘前に関係あるものをこうばぁ~っと並べる展示をして。それを今回凝縮して「コウモリアラカルト」っていうふうになっております。以上でございますが、いいですか?
材料はいろいろ、石膏から大理石とかまで。
来館者H:これ実物大?
塚本:いや、もっと大きかった。
来館者H:(展示室の)外にもあるよね?
塚本:ありますね。…これは木彫。これ広げて、手で持って鑑賞するタイプですが、今回は…。
来館者F:これ型取りじゃなくて、一点ものかな?
塚本:土からこう作りました、普通に。
来館者F:型ではしてない?
塚本:はい、型ではしてません。

吉村:あの~、すごいこれ(それから・それから)についてしゃべれと言ってる人がいます。これについて何を語ってほしいんですか?
来館者Y:なんでガラスなのか。
吉村:なんでガラスなのか?なんでガラスを作るようになったのか?なのか、それとも…。
来館者Y:なんでガラスを作るようになったのか。
吉村:そんなつまんない話聞きたいですか?言っちゃうよ、じゃあ。
私は本当、石が専門なんで、石彫をずっとやっておりました。それで、今は自分のアトリエを持っているんですが、昔は旦那の。あの、最後の石彫(シンポジウム)の参加者の大野春夫さんとうちの主人が一緒に会社をやっておりまして。石彫の会社だったんで、そこで私はちょっと居候して、昔は制作しておりました。そしたら、私がでっかい石を彫っていたら、そこに会社のでっかい石がぼ~んと来て。「邪魔だから出て行け」って言われて。「え~!私は制作ができないじゃないか!?どうしたらいいんだろう?」って思っていたところに、彫刻家なんだけどガラスをちょっとやってるっていう作家が、「じゃあ、うちでガラスちょっとやってみる?」って言ったので、それじゃあ、って言ってやらしてもらいました。その人は塑像の作家なので、粘土で形を作って、それを石膏で型を取って、そこにガラスを入れて焼くんですけれども。その焼きあがった時に、粘土で作った鋳肌っていうんですね、その肌をとても大事にするんです。で、大体ガラスの流し込みとか型取りで作る作家さんて、それをすごく大事にするんですけど、私は根っから石彫家なんで。こうザサって作ったやつを窯に入れて、出して、ガァ~って削って、バァ~って磨きだしたら、その友達の作家が「何てことするの!?せっかく粘土で作ったのに!」って言いだしたんです。それを見て、もしかして石彫出身でこういうことをするっていうのは、個性として有りなんじゃないかな?っていうことになんか気づいちゃって。これはこれで有りだろうってふうにして、こういう制作が始まっちゃったんです。
なので、彫刻だっていって持って行くと「これはガラス工芸でしょ」といわれるし、ガラス工芸の世界に持って行くと「いや、これは彫刻だろ」って言われるので、非常にボーダーラインで、居場所がなくてとても困っている作品です。こんな感じです。よろしいでしょうか?
来館者Y:他の作品は?
吉村:他の作品ですか?他の作品についてですか?
まず、これはですね、「ユウラとリン」と言いまして。下がユウラです。で、上がリンなんで、「ユウラ」「リン!」「ユウラ」「リン!」って散歩をしてます。あの、どなたかが、美術館の方がすごく面白いことを書いてくださっていて。「ユウラとリンは性格が正反対。ユウラはあっちに行きたいんだけど、リンはこっちに行きたいんだよね。」って。私はそんなことを言った覚えはないんだけど、そうやって私の作品ていっつもなんか知らないけど、作者の知らないところで物語が出来ていってしまう、というのがどうやら特徴のようで。よくあるのが、本人の知らない名前がついちゃってるっていうことがよくあります。…そうなんです。
これは、「ふくふくふく」っていう、めでたい三兄弟です。いいこといっぱいあるといいね、みたいな感じで。
で、これ(うたかた)は、これ(それから・それから)の続きです。
で、こっちは、なんか家来を連れて歩いてるような雰囲気になっちゃいました。展示によってすごい雰囲気変るんです、これ。…これ、何に見えます?
来館者A:鳥が、白鳥が休んでるように見える。
吉村:鳥が休んでるように見える?白鳥?…Kさん、何に見えます?
来館者K:アイスとかそういうもの。
吉村:アイスか。
来館者Y:雨粒。
吉村:きたーっ。これ、実を言うと…。
来館者Y:雨粒がポンっと落ちた感じ。
吉村:ひっひっひっひ。これ、実を言うとカプチーノを飲んだ時に…。
来館者一同:あ~。
吉村:やったぁ!カプチーノを飲んだ時に、口に泡がふぅってあたる感じが、決してこんなじゃないんですけど、こんな大げさじゃないんだけど。感触を形にするとこんなになるんじゃないかなって思って、それで、そのカプチーノがお椀ごと踊り出したら優雅でいいだろうなと思って、「円舞曲」ワルツっていう題をつけてます。そうなの、形じゃなくて、感触なの。
で、これは、あのひと(ユウラとリン)と兄弟で、「ひぃふぅみぃ」の三兄弟です。
これは、名前…。自分で作っててさぁ、タイトル忘れてるの。あ、「風とおどれば」ですね。これも踊ってるんですけど。これは並べるたんびに本人も並べ方を忘れて、どんどんどんどん並べ方が変わっちゃって、これがこう回るんで別に構わないし。風にクルクル回って、「あ~、あっち向いちゃったよぉ」って感じでもいいかなってみたいな感じで、で陽気に踊っております。だからこれ、どっかに設置になっちゃうとくっつけなくいけなくなっちゃうから、寂しいんですけど。でも売れずにうちにいるのをいいことに、クルクル踊らせてよろこんでいます。
こんな感じで以上です。ありがとうございました。

宮澤:私は、黒御影石っていう石を主に使っています。で、十日町市のシンポジウムも野外に展示するっていうことを考えた時に、黒御影っていう石が一番きれいな状態で長持ちする、ということがありまして、街のなかに置かれるのに向いた石だと思っております。で、この黒御影石の加工方法って3つしかないんですね。石をボンッと割った時の割れ肌って言うんですけど、石の結晶がそのまま見える状態。それから、ノミで突っついたところはそこの結晶が砕けて白くなります。それを僕たちの言葉で「ほし」って呼んでるんですけど。これ、私の今並んでいるのは殆んどノミで仕上げているので、ほしがいっぱいです。腕とか顔の細かなところは小さなノミ、細いノミで突っついて細かくやってて、大きいところはちょっと太いノミでっていう、そのバリエーションでやってる。あとですね、3つ目の表現としては、磨くっていうのがあって。この黒御影石の代表的な使い方は、墓石で。黒い墓石っていうのはピカピカに磨かれてますよね。ですから、あそこ5人横に繋がっているのなんかは、胸の部分を砥石で磨いてる。で、鏡面まで、墓石のように磨くには、3000番ていうメッシュで磨いて、バフで鏡面が出るわけで。私のは途中の800ぐらいで止めている磨きです。
で、モチーフとしては、人物で、特に子どもとか年下の女性を、わりといろいろなイメージのなかでポーズを考えたりとか。それから人のかたち以外のものを、ちょっと足してみたりして作ってます。で、後ほど質疑応答のところで、私がしゃべるよりもむしろ皆さんから質問をいただけたらと思います。以上です。


制作のテーマ、アイディアについて

宮澤:僕は、わりといつも何作ろうか考えてます。ネタを探してます。それで、思いつくのが、今作っている時に次作りたいのを思いつくことが多いから、仕事から離れちゃいけないなとはずっと思ってるんですね。で、年に1回、二科展ていう公募展でおっきい作品作ってるんですけど、それを作るために端材が出ます。で、その端材から次作る作品を、はじめに変な形、端材ですから三角になってたり細長かったりあるんですけど、それを見ながら「あ、こういう形が入る」っていう。その材料から何か発想を得て、作って、それが年に10点近く作るんですけど。そのなかで「あ、これちょっと今までとない要素があって面白いから、次の、来年の二科展でこれおっきくしてみようかな」みたいなのも最近で、わりと作ってるんですけれども。いかがですかね?
塚本:いかがですかね?…いか、イカは作りましたけれども。
吉村:作ったんかい!
塚本:じゃあ、私からですが。ヒツジを作り始めたのは、ドリーが出た頃、クローンヒツジ。で彫刻も生命て思っているので、彫刻っていう生命ってあるじゃないですか。で、本当に生き物の生命体っていう生命。でそこらへんがちょっと引っかかっていた頃で。ドーキンスの利己的遺伝子っていうのにかぶれていた時期があって、ヒツジを作ろうっていうそこらへんの時にですね、彫刻を考えていたらミケランジェロのメディチ家の墓。座って写真をこういつも見て描いてたんですが、ここにこう草があって、毛がこうクルクルて舞って。これ彫刻でも、毛でもなくて、石でもなくて。彫刻っていうねモノになってると。で、それと組み合わせてヒツジを作り始めた。ていう感じです。
吉村:え、じゃあヒツジが作りたかったんじゃないってこと?
塚本:うん、彫刻が作りたかった。
吉村:お~。じゃあ、ヒツジがたまたまそこに合っていた?
塚本:そう。
吉村:その毛の感じを表現するんだったら、ヒツジじゃないかな?っていうアプローチ?
塚本:いや、半分ぐらいは利己的遺伝子の方に行ってるわけですよ。でも半分は彫刻に行ってるわけですよ。で、その展覧会でブランクーシも胸像で作ったんですよ。なんか、日本でこの石膏像、僕らは見て勉強するじゃないですか。向こうは本物作って。だから、自分の彫刻って何だろうなとか思いながら、ブランクーシのなんか胸像っぽい、ボヤっとしてる写真を胸像で大理石で作ってるってこともやってます。
吉村:なんか、この毛の表現とかがすごい独特だから、すごいこれに興味があるのかなって思ってたんで、今ヒツジの話を聞いて「羊さんかわいいな」じゃないんだろうな、と思ったんですよ。
塚本:可愛い一直線ではないですね。モノとは全部、2面性、3面性、4面性、すごい複雑ですよ。複雑です。それをブランクーシはどーんてやったわけですよ。かっこいいと思うじゃないですか。…で、彫刻をやってます。で、そのあとに、「あ、これだったらこういう感じもなんか石の質感でこういう感じを作りたい」っていうね、思いが芽生えます。なんでこれが出来るかって言ったらタコだったんです、タコ。
吉村:イカじゃなかったんだ。
塚本:うん、タコ。で、タコで、全部タコのドローイングとタコの彫刻で個展を1回やったりして。その時から「タコ作家」と呼ばれるようになりました。
吉村:もしかしたら参考にならないかもしれないけど、いいですか。参考にならないかもしれませんが、私は宮澤さんと全然違って、端材から絶対作れないんです。私、何か知らないけど、すごい柔らかい形を作ってるんで、何かこう、何かこんなふうになっちゃったのよぉ的に作っちゃってるんじゃないかっていうふうに理解されることが多いんですけど。実はこれ家に、ちっちゃいのがゴロゴロ転がってて。しつこく描いて、マケットを作って、何分の一模型っていうのをしっかり作るんです。で、どっから見てもおかしくないかってことに納得しないと次行けないっていう感じで。だから、つまり、作りたいものが、最初に素材との対話じゃなくって、表現したいものがあるんですよ。例えば、硬いものなんだけど柔らかいものだったり、あと輪郭線があるかないかの中間みたいなのが欲しい。だから、最初、御影石つぶしてたんですけど。それで、そのノミ底と石の境界の間にある、そのなんていうかな、空気っていうのは、どっちに属してるのかな?みたいな感じで。ふわぁっと広がるような形とか、いいなと思ったら、それ、じゃあ半透明な感じがいいからじゃあ大理石でやってみようかっていう。でも、でも大理石だとやっぱりこうスルっと詰まった感じになるから、それ、ガラス、半透明磨いたら一番フィットした感じになるんじゃないかみたいな感じで。ここへ行きつきたい!っていうのがあって、で、そこに向かって材料も形も描くっていう感じです。ちょっと変わってるかな。


テラスの彫刻作品がかわりました!!

2023. 4. 26

二科新潟支部彫刻部の皆さんにご協力いただいている当館テラスの展示スペース。
毎年ゴールデンウィーク前に作品の入替をしていただいています。
彫刻作品は周囲の空気も変えてくれます。

今回は角谷豊明さんの木彫像「冬」と、
岩井英光さんの石膏像「猖獗(しょうけつ)の果て
― 従軍カメラマン ジョー・オダネルの写真より ―」です。
ご来館の際はぜひテラスまでご覧ください!!

 
角谷豊明さん          岩井英光さん

 
慎重に場所を決めて設置します。


新型コロナウイルス感染拡大防止に関するお願い

新型コロナウイルス感染拡大防止のため、皆様のご理解・ご協力をお願いいたします。

・マスク着用のお願い
 ご入館の際は、マスクの着用をお願いいたします。
 マスクをお持ちでない場合は、必ずハンカチをお持ちください。
 ※当面の間、マスク着用でないお客様のご入館をご遠慮いただく場合がございます。

・手洗い・アルコール消毒のお願い
 ご入館の際は、手指のアルコール消毒をお願いいたします。

・咳エチケットのお願い
 咳やくしゃみをする際、飛沫が飛ばないよう口元をハンカチやティッシュ、袖などで抑える咳エチケットをお心掛けください。

・ご来館前の体温測定と体調チェックのお願い
 体温が37度5分以上ある、咳などの風邪症状がある等、体調がすぐれない場合はご来館をお控えくださいますようお願いいたします。

・作品鑑賞時のお願い
 作品鑑賞の際には、他のお客様との距離をあけて、展示室内での会話は極力お控えくださいますようお願いいたします。